歯の裏側まで舐められた

 

高校生の時、仲の良い男女数人が集まって、罰ゲームをかけたトランプをしたことがある。

 

嫌いな先生の名前を言うとかデコピンとか、そんな感じの軽い罰ゲームだった。

 

だけど最後にサッカー部の淳平が提案した内容が空気を変えた。

 

「ビリになった人が、1位になった人にキス」

 

当然女子からはブーイングの嵐だ。

 

「まあまあ、女子同士とか男子同士になるかもしれないし。それにキスって言ってもほっぺに軽くちゅっでいいからさ」

 

それならばと渋々受け入れられ、最後のゲームが始まった。

正直俺はキスしたことが一度もなかったので、ほっぺたでも十分魅力的だった。

 

俺がいち抜けで、ビリはバドミントン部の沙耶香だった。

思わず心の中でガッツポーズをした。

 

沙耶香はクラスでも1,2を争う人気で、当時ドラマに良く出ていた若手女優に似ていると、他のクラスからも見にくるほどだった。

 

「えーっ、わたしが出頭くんにキスするの?」

 

「ビリになったんだから仕方ないよ。さっさと終わらせちゃおうぜ」

 

淳平や他の男子は自分が沙耶香とキスできないもんだから、もうどうでもいいといった感じだ。

 

「しょうがないなあ。出頭くん、ごめんね」

 

沙耶香は俺に近づき、キスをした。

 

てっきりほっぺたかと思ったら、なんと口にキスされた。

沙耶香の柔らかい唇が俺の唇に合わさり、まるでマシュマロを押し当てられたかのような感覚だ。

 

その直後、何か温かいものが口の中に侵入してきた。

 

まさかと思ったらそのまさか、沙耶香が舌を入れてきたのだ。

それも舌を思い切り奥までねじ込む、深い深いディープキス。

 

口の中で沙耶香の舌が暴れ回り、ディープキスと言うより接吻と呼ぶにふさわしい、超濃厚なキスだった。

 

「ちょっと沙耶香、やり過ぎ...」

 

他の女子は完全にドン引いている。

しかし沙耶香はいっこうにやめようとせず、さらに舌を奥までねじ込んで、唾液を流し込んでくる。

 

絡みついてくる沙耶香の舌に、俺も負けずと応戦する。

口の端から唾液が滴り落ち、服には2人の唾液でシミができていた。

 

さらに沙耶香は、俺の歯を一本一本舌を使って舐め始めた。

まるで歯ブラシで磨くように、歯の裏側や歯茎の付け根まで丁寧に舐める。

 

沙耶香の舌はまるで生き物のように縦横無尽に這い回り、最後は唇に軽く触れてキスを終えた。

 

これが俺のファーストキス。

後にも先にも、こんなに濃厚でエロいキスはしたことがない。

 

後で沙耶香に聞いたら、これが普通のキスだと思っていたらしい。

いったい誰に教わったのだろうか。